源流は中世フランスの「ジュ・ド・ポーム」
テニスのルーツは、中世フランスで親しまれた「ジュ・ド・ポーム」という球技だとされています。ポームは「手のひら」の意味で、はじめは素手でボールを打ち合っていました。始まった時期は11〜13世紀ごろと資料によって幅があり、はっきりとは分かっていません。
この遊びは修道院や貴族の間で広まり、やがてラケットを使う屋内の競技へと発展しました。今もイギリスでは「リアルテニス」、アメリカでは「コートテニス」という名前で受け継がれています。「テニス」という呼び名の由来にも、サーブ前の掛け声から来たという説などがあり、諸説あります。
1874年、芝の上の「ローンテニス」が誕生
今のテニスの直接の祖先は、イギリスのウォルター・クロプトン・ウィングフィールド少佐が広めた屋外のゲームです。彼は1874年2月に特許を取り、ギリシャ語をもとにした「スフェリスティキ」という名前で売り出しました。ネットやポール、ゴムボール、説明書を箱にまとめたセットで、芝生の庭ですぐに遊べるのが特長でした。
芝の上でもよく弾むゴムボールが作れるようになったことが、屋外で遊べるテニスを後押ししました。ただし当時のコートは、中央がくびれた砂時計のような形で、今の長方形とは違っていました。考案の時期を1873年とする資料もあり、同じころ似た遊びを考えた人がいたという説もあります。
1877年、第1回ウィンブルドンが開かれる
ロンドン郊外のウィンブルドンには、1868年にできたクロッケー(芝の上で木の球を打つ競技)のクラブがありました。クラブは1875年にローンテニスを取り入れ、1877年7月に初めての選手権大会を開きます。これが今も続くウィンブルドン選手権の始まりです。
第1回は男子シングルスだけで、参加を申し込んだのは22人でした。優勝したのはスペンサー・ゴアで、決勝ではウィリアム・マーシャルを破っています。この大会に向けて長方形のコートや、15・30・40と数える得点方法が整えられ、今のルールの土台になりました。
1881年にはアメリカで全米選手権(今の全米オープン)が始まり、1884年にはウィンブルドンに女子シングルスが加わりました。1900年には国別対抗戦のデビスカップも始まります。テニスはこうして国際的なスポーツへと育っていきました。
1968年のオープン化とプロツアーの成立
長いあいだ、四大大会などの主な大会はアマチュア選手だけが出られるものでした。賞金で生活するプロ選手は締め出され、別に試合を興行して回っていました。その一方で、アマチュアが裏で報酬を受け取ることも問題になっていました。
この状況を変えたのが、1968年の「オープン化」です。プロとアマチュアが同じ大会に出られるようになり、4月にはイギリスのボーンマスで最初のオープン大会が開かれました。四大大会では同じ年の全仏が最初のオープン大会となり、男子はケン・ローズウォールが優勝しています。
オープン化のあと、選手が自分たちの組織をつくる動きが進みました。男子は1972年にATP(男子プロテニス協会)を結成し、1973年8月には成績をもとにした世界ランキングを始めます。女子も1973年にビリー・ジーン・キングを中心にWTA(女子テニス協会)を立ち上げ、男女同額の賞金を求める活動を続けました。
日本への伝来とソフトテニスの誕生
日本にテニスが伝わったのは明治時代のはじめです。1878年(明治11年)には、横浜の山手公園で外国人居留地の人たちのクラブがテニスコートをつくりました。山手公園が「日本のテニス発祥の地」と呼ばれるのはこのためです。
同じ1878年に来日したアメリカ人教師のリーランドが、学校で教えたという説がよく知られますが、時期には異説もあります。当時のボールは輸入品で高価だったため、手に入りやすいゴムボールで代わりにする工夫が生まれました。1890年には国産のゴムボール作りが始まり、日本独自の「軟式テニス」として学校を中心に広まります。
軟式テニスは1992年に正式な名前が「ソフトテニス」に改められ、今では海外でも行われています。一方、硬いボールのテニスは、1913年に慶應義塾が取り入れたのをきっかけに広がりました。
1920年のアントワープ五輪では、熊谷一弥が銀メダルを獲得しました。翌1921年には日本がデビスカップに初めて出場し、決勝まで進んでいます。同じころ、日本庭球協会(今の日本テニス協会)も発足しました。
まとめ
テニスは、中世フランスの手で打つ遊びから、19世紀イギリスの芝のスポーツへと姿を変えてきました。1877年のウィンブルドンでルールの土台ができ、1968年のオープン化でプロとアマチュアの垣根がなくなりました。日本ではゴムボールの工夫から、ソフトテニスという独自の競技も生まれています。歴史を知ると、試合の観戦やふだんの練習が少し違って見えてくるはずです。
