テニス専用のシューズが必要な理由
テニスは前後だけでなく、左右への急な切り返しや踏ん張りが多いスポーツです。テニスシューズは横の動きで足がずれにくいつくりと、すり減りにくい靴底を備えています。
ランニングシューズは前に進む動きを中心に作られているため、横の動きでは足が靴の中でずれやすくなります。コートでは専用のシューズを履くことが、けが予防の第一歩です。
コートの種類とソールの違い
いちばん大事なのは、よく使うコートに合った靴底(アウトソール)を選ぶことです。日本のメーカーは、対応するコートを製品名の末尾の記号で示すことが多くあります。
| 表記の例 | 主なコート | ソールの特徴 |
|---|---|---|
| AC(オールコート) | ハードコート | 削れにくいゴムと、止まりつつ少し滑れる溝 |
| OC・GC(オムニ・クレー) | 砂入り人工芝・土 | 砂や土をつかむ細かい溝 |
| CS など(カーペット) | 屋内のカーペット | 溝がほとんどない平らな底 |
オールコート用
名前は「オールコート」ですが、主にハードコート向けに作られたソールです。ハードコートは路面が硬くざらついていて、靴底が削れやすいコートです。そのため丈夫なゴムと、クッション性が重視されています。どこでも万能というわけではない点に注意しましょう。
オムニ・クレー用
砂入り人工芝や土のコートは、表面が滑りやすいのが特徴です。そこで砂をしっかりつかみ、止まりたい時に止まれる細かい溝が刻まれています。海外のクレー用シューズも、溝に入った土が抜けやすい形になっています。
カーペット用
屋内のカーペットコートは、路面そのものに強いグリップがあります。溝のある靴底だと引っかかって転ぶおそれがあるため、平らなソールのインドア用を選びます。施設によっては、コートに合ったシューズを履くことを利用の条件にしている所もあります。
日本に多いオムニコートの事情
日本の公営コートやテニススクールでよく見かけるのが、人工芝に砂をまいた「砂入り人工芝」です。「オムニコート」は日本初のテニス用砂入り人工芝の商品名で、2023年に発売40年を迎えました。足腰への負担が比較的少ないとされ、愛好家やシニア世代にも親しまれています。
海外のガイドでは「迷ったらハードコート用」とされることがありますが、これはハードコートが主流の国の考え方です。よく使うコートが砂入り人工芝なら、オムニ・クレー用が合います。屋内のカーペットコートを使うこともあるため、通う施設のコートの種類を確かめてから選びましょう。
足幅・クッション・サイズ合わせ
足幅(ウイズ)
日本のメーカーは、足幅を2E・3E・4Eのように表します。同じモデルで複数の足幅を用意しているシリーズもあります。
幅が合わないと靴の中で足が動き、踏ん張りが効かずに疲れやすくなります。幅広でない人が幅広モデルを選ぶのも、同じ理由でおすすめできません。同じ3Eでもモデルによって履き心地が違うため、表示だけで決めず試着しましょう。
クッションと安定性
柔らかさや軽さだけで選ぶのは避けたいところです。柔らかすぎると、踏ん張ったときに足を支えきれないことがあります。
軽いシューズは動きやすい反面、靴底のゴムが少なく、すり減りが早い傾向があります。週に何度もプレーする人や、体格のしっかりした人は、安定性と耐久性を重視したモデルが合います。
サイズ合わせのコツ
- 試着は、足がむくみやすい午後から夕方にする
- プレーで使う靴下を履いて試す
- 紐をゆるめてかかとを奥まで入れ、つま先側から順に締める
- 両足で立ち、数歩動いて当たる所がないか確かめる
大きめを選ぶ人もいますが、つま先の余裕は1cm前後が目安とされ、2cmも大きいサイズはおすすめできません。シューズは足指の付け根で曲がるように作られており、サイズが大きすぎるとその位置がずれてしまうためです。
買い替えの目安
アメリカのスポーツ足病医学の学会(AAPSM)などは、テニスのプレー時間でおよそ45〜60時間がミッドソール(クッション部分)のへたる目安だとしています。週1時間なら1年ほど、週に何度もプレーする人なら数か月が目安です。
次のような変化があれば、時間に関係なく買い替えを考えましょう。
- 靴底がすり減り、中のクッション材が見えてきた
- 以前より止まりにくく、滑りやすくなった
- プレー後に足首やひざが痛むようになった
- 足がしっかり固定されなくなった
未使用でも素材は年月とともに劣化するため、長く保管していた靴も点検が必要です。普段履きにすると傷みが早まるので、コート専用にしましょう。
定番モデルの例
2026年10月時点で販売されている定番から、性格の違うものを挙げます。同じモデル名でもソールの種類が複数あるため、購入時は必ずコートの表記を確かめてください。
- アシックス GEL-RESOLUTION X:接地面の広いソールで、安定性と耐久性を重視したモデルです。ハードコートでよく動く人や、靴の減りが早い人に合います。
- アシックス SOLUTION SPEED FF 4:軽さを重視したスピード型です。フットワークの軽さを優先したい人に合います。
- ヨネックス パワークッション エクリプション5:衝撃吸収材と外側を支えるパーツで、切り返しの安定性を高めたモデルです。オールコート用とクレー・砂入り人工芝用があり、左右に大きく動く人に合います。
- ミズノ WAVE EXCEED 6:軽量のスピードモデルで、オムニ・クレー用、オールコート用、カーペット用があります。オムニ・クレー用は足幅を2E〜4E相当から選べるため、幅広の足に合う靴を探している人に向いています。
まとめ
テニスシューズは、まずよく使うコートに合ったソールを選ぶことが出発点です。日本に多い砂入り人工芝ならオムニ・クレー用、屋内のカーペットならインドア用を選びましょう。そのうえで足幅とサイズを試着で確かめ、プレー時間や滑りやすさを目安に早めに買い替えると、快適さとけが予防の両方につながります。




